
キッチンカーで開業するには、車の購入に加えて、メニュー、出店先、資金、設備、営業の手続きを準備する必要があります。
最初に整理したいのは、「何を・どこで・どのように売るか」です。この条件が決まると、保健所に相談する内容や、車両に必要な機器、予算の内訳が見えてきます。

まず押さえたい3つのこと
- メニューと調理工程を決め、製作仕様を確定する前に保健所へ相談する。
- 車両・BOX代に加え、設備・営業準備費・運転資金を分けて考える。
- 営業許可の確認と、出店場所の確保は、それぞれ進める。
必要な手続きは、扱う食品や販売方法によって異なります。メニューと調理工程を保健所に伝えて確認しましょう。

キッチンカー開業までの流れ
まずは、次の6段階に分けて準備しましょう。資金・メニュー・設備の検討は並行して進め、条件が合わなければ計画を見直します。
- 01
メニューとお客様を考える販売する商品と調理工程を書き出す - 02
出店候補と営業地域を調べる区画・費用・電源・募集条件を確認 - 03
予算と採算を整理する初期費用と運転資金を分ける - 04
資格・許可を確認し、事前相談するメニュー・工程・設備図面を保健所へ - 05
実車を見て、仕様・見積を決める営業の動きを試してから発注を判断 - 06
申請・検査・営業練習を経て初出店へ許可・場所・衛生管理・備品を最終確認
車両の見積と保健所への相談は、並行して進めます。
開業資金は、初期費用と運転資金に分ける
必要な開業資金は、用意する車両・厨房機器、仕込み場所、営業方法で変わります。車両の見積だけで予算を使い切らず、開業後に支払うお金も残して計画することが大切です。

車両・BOX・厨房設備・登録や申請・看板・営業備品など
食材・包材・出店料・燃料・保険・保管場所・人件費など
| 費目 | 抜けやすい確認点 |
|---|---|
車両・BOX・架装
|
トラックを含むか。中古車の整備、登録・構造変更、納車の費用を含むか。 |
厨房・電源設備
|
冷蔵庫、調理機器、作業台、給排水、電源をどこまで含むか。持込機器の設置費も確認。 |
営業前の準備
|
資格講習・申請、看板・メニュー表示、調理道具、決済端末、清掃用品など。 |
拠点・維持費
|
車両の保管場所、仕込み施設、保険、通信費、整備・修理など。 |
日々の営業
|
仕入れ、容器・包材、出店料、交通・燃料費、人件費など。 |

売上の見込みと、手元に残るお金を別々に見る
売上は「客単価×販売数」で考えます。その売上から、食材・包材・出店料・人件費などを差し引き、採算を確認しましょう。来客が少ない日や出店を休む日も想定し、営業日数を変えて試算します。
さらに、借入金の返済や納税、生活に必要なお金を含めた資金繰りも確認してください。利益が出る計画と、支払いに必要な現金があることは同じではありません。参考:日本政策金融公庫「創業の手引+ 飲食版」(PDF)

補助金や融資を検討する場合は、車両の契約・購入前に制度の窓口へ対象経費や手続きの順序を確認します。補助金を受け取れることを前提に、手元資金を組まないようにしましょう。
食品衛生責任者・営業許可・出店の承諾を分けて確認する
キッチンカーの開業では、食品衛生責任者の要件、食品を扱う営業の許可、出店場所の使用条件を、それぞれ確認します。どれか一つを満たせば、すべての準備が済むわけではありません。

食品衛生責任者
営業に必要な衛生管理を担う人を定めます。該当資格がない場合は、認められた養成講習会の受講を確認します。
営業許可・届出
扱う食品と調理・販売方法に応じて、必要な手続きを保健所へ確認します。設備の図面も事前に相談します。
管理者等の承諾
施設・土地の管理者や主催者に確認します。道路・公園等では別の許可が必要になる場合があります。
調理師免許は、一律に必須ではない
一般的なキッチンカーの開業で、調理師免許の取得が一律に必須となるわけではありません。一方で、食品衛生責任者を定める必要があります。調理師・栄養士等の資格を持つ人のほか、認められた養成講習会を受講した人も要件を満たせます。

該当する資格がなければ、講習会の日程や申込方法を早めに確認しましょう。特殊な食品を扱う場合などの要件は別途確認が必要です。出典:厚生労働省「食品衛生責任者の取扱いについて」
車両の製作・改装を確定する前に、図面で相談する
車内で食品を調理・提供する営業には、原則として飲食店営業の許可の取得が必要です。必要な設備はメニューや工程で変わるため、営業予定地を管轄する保健所に、次の内容を持って相談してください。

保健所への相談に持っていくメモ
- 販売するメニューと、仕込みから提供までの工程
- 車内で行う作業/車外で行う作業と、その場所
- 冷蔵・加熱・洗浄・手洗い設備の配置が分かる図面
- 給水・排水タンクの計画、食器や器具の扱い
- 営業したい市区町村と、出店の予定
給排水タンクは、車の大きさだけで容量を決めないようにします。取扱食品や調理工程、食器の扱いなどを踏まえて必要容量を確認し、重量も含めて製作会社と仕様を詰めましょう。出典:静岡県「自動車(キッチンカー)による飲食店営業について」

車外で仕込む場合は、その施設で予定する作業ができるかも相談します。普段使っている家庭用キッチンを、そのまま営業用の仕込みに使えるとは考えず、必要な許可・設備・保管方法を確認してください。参考:水戸市「自動車(キッチンカー)で営業するには」
搭載する設備を具体化するhacoboの標準装備・選べる仕様を見る個人事業の開業届と、青色申告の申請は別の手続き
2026年1月1日以後に個人事業として開業した場合、開業届の提出期限は、開業した年分の所得税の確定申告期限までです。

青色申告を希望する場合の承認申請は別期限です。原則としてその年の3月15日まで、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内に提出します。必要な追加手続きも、国税庁の案内で確認してください。国税庁:個人事業の開業届出等手続国税庁:新たに事業を始めたときの届出など
車両は、広さ・設備・作業の動きを実車で確かめる
見た目や購入価格に加え、「営業中に無理なく動けるか」を確かめましょう。車体が出店区画に収まることと、車内で調理・受け渡しができることは、別々の確認ポイントです。

見学では、実際の営業を再現する
-
営業人数:二人で立ったときにすれ違えるか。作業中に背後の収納を開けられるか。 -
提供の動き:調理台から販売窓へ移動し、商品と釣り銭を渡せるか。肘や器具が窓・カウンターに当たらないか。 -
保管・補充:食材、容器、清掃道具を分けて置けるか。冷蔵庫の扉が作業を妨げないか。 -
清掃・交換:タンクの出し入れ、床の清掃、換気設備のフィルター交換を行えるか。 -
雨天・撤収:濡れた物の置き場所、積み込む備品、庇を閉める手順を確認できるか。
持ち込む機器が決まっていれば、外形寸法、重量、必要な電源・熱源を一覧にします。機器を置けるかだけでなく、扉の開閉や排熱、整備のための空間も含めて相談してください。

給排水や機器を積んだ状態での重量、車両の登録・構造変更の要否も製作会社へ確認しましょう。

レイアウトの確認や、メニューの試作にも
hacoboでは、テストキッチンで作業台を動かし、レイアウトを再現できます。メニューの試作・開発にも利用できます。シェアキッチンとしての利用はできません。利用条件や日程は事前にご相談ください。
テストキッチンの案内を見る見積を比べるときは、車両・BOX・厨房機器・登録・納車・追加工事の範囲をそろえます。納期、支払時期、納車後の修理・相談窓口まで確認してから判断しましょう。

申請・検査と営業練習を済ませ、初出店に備える
車両が完成したら、事前相談した内容に沿って、必要な申請・検査などを進めます。保健所の案内に従い、許可内容と営業できる時期を確認してください。製作期間だけで開業日を決めず、講習・申請・検査・出店先の募集日程も含めて予定を組みます。

食品の衛生管理も、営業開始前に準備します。小規模な飲食店は、厚生労働省が確認した手引書を参考に、衛生管理計画の作成、実施状況の記録・保存、定期的な見直しを行います。冷蔵設備の温度確認や清掃を、誰がいつ記録するかまで決めておきましょう。厚生労働省:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
営業練習は、注文から片付けまで通して行う
料理を作る練習に、注文の受付と会計も加えてみましょう。食材や容器を実際の位置に置き、設営から片付けまで通して試します。

- 設営停車、販売窓、電源・給排水、温度確認、メニュー表示
- 営業注文、調理、盛り付け、会計、受け渡し、補充
- 撤収食材の保管、ごみ・排水の処理、清掃、機器と備品の固定

hacoboでは、自社敷地での出店練習や、保健所申請に必要な書類・レイアウト図の作成を支援しています。保健所への手続きは、基本的にお客様に行っていただきます。営業地域・車両の仕様・ご希望の日程をお知らせください。hacoboの開業サポートを見る
車両購入前の8項目チェック
確認できた項目にチェックを入れ、まだ決まっていない項目を次の相談に持っていきましょう。



キッチンカーの開業で迷いやすいこと
キッチンカーを始めるには、まず何をすればよいですか?
メニューと調理工程、出店したい地域・場所、使える予算を仮決めします。その情報をもとに保健所と製作会社へ相談すると、必要な設備や費用を具体化しやすくなります。すべてを一人で決めてから相談する必要はありません。
調理師免許がなくても開業できますか?
一般的なキッチンカー開業では、調理師免許は一律に必須ではありません。ただし、食品衛生責任者の選任や、営業内容に応じた許可・設備などの条件を満たす必要があります。資格がない場合は、認められた食品衛生責任者養成講習会を確認してください。
資格と手続きの説明へ戻る一つの営業許可があれば、全国で営業できますか?
一つの許可で全国どこでも営業できるわけではありません。自治体間の取り決めで複数地域の営業が認められる場合もあります。出店したい市区町村を挙げ、取得予定の許可が使える範囲と追加手続きの有無を保健所に確認してください。
厚生労働省:区域を越えた営業の事例(PDF)
開業にはいくら必要ですか?
車両・BOX・厨房設備のほか、仕込みや保管の拠点、営業準備費、運転資金によって変わります。hacobo Tの掲載価格165万円(税込)〜はBOXのみの価格で、開業総額ではありません。必要な費目を整理し、条件をそろえた見積で判断してください。
費用の内訳表を見る車両を購入してから、メニューを決めてもよいですか?
メニューや調理工程によって、給排水・冷蔵・熱源・換気などの条件が変わります。追加工事や機器の買い直しを避けるため、候補メニューを挙げて保健所と製作会社へ相談し、仕様を確認してから発注を判断する進め方をおすすめします。
どれくらいの期間で開業できますか?
車両の製作状況、仕様、講習や許可申請、出店先の確保などで変わります。車両の最短納期だけを開業準備の期間と考えず、開業希望日を製作会社へ伝え、行政手続きの日程と合わせて逆算しましょう。
メニュー・地域・予算から、
必要な車両を考えましょう。
販売したいメニューと、営業予定の地域をお聞かせください。hacoboでは、車種・設備の比較、実車見学、製作のご相談を受け付けています。






